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「山田岳 ギターリサイタル」広島公演

山田岳ギターリサイタル広島公演

9月1日(木)、広島市「ホテル 八丁堀シャンテ」内のチャペル「JURER」にて、
ギタリスト、山田岳さんのリサイタルが開催されました。

ほぼ同一のプログラムでの別公演が東京で予定されているので、ネタバレ防止のためにも、
この公演で初演された拙作、ギターのための《楓》を中心に書いて参ります。
(曲の解説は、こちらをどうぞ)

山田さんが演奏する《楓》を初めて聴けたのは、公演前日の8月31日。
広島市内での練習に立ち会わせて頂いた時でした。
演奏上の理不尽極まりない箇所はきっと無いだろうと思いたいのですが、
それでも難曲には違いないであろうこの曲。
しかし、山田さんの演奏は、私が思い描いていたものよりも素晴らしいものでした。
私の楽譜は事細かに注記を書き入れていくタイプのものではないのですが、
こちらの意図を全て読み取っているかのような演奏でした。
幾つかの意見交換の中には、より良いハーモニクスのポジションへの変更など、
《楓》を更に現実的な音楽にするためのアドバイスもありました。

実は、この曲には、作曲上の裏テーマがありました。
雑誌『現代ギター 2011年3月号』に、
山田さんが愛器、ロバート・ラックを語るインタビューが掲載されているのですが、
それによると、武満徹などのように楽器の響きを重視した現代音楽にはぴったりだが、
完全な無調の作品とかだと、逆に無個性であったり、
ドライな響きの楽器でも構わない、とのこと。
これを読んで、
「拙作の演奏にもロバート・ラックを選んで頂きたい」
という目標を掲げることに致しました。
結果、ラックを選んで頂けて、大変嬉しかったです。

そして、公演当日。
たった1日しか経っていないのですが、山田さんの演奏は更に良くなっていました。
これには本当に驚きました。
特に、グリッサンドが到達した時の音色など、
ちょっとした瞬間のニュアンスが最高でした。
6分弱の短い時間において、短いスパンで曲想が変わっていく《楓》ですが、
そのギアチェンジも良かったです。

本番では、更にエネルギッシュかつエモーショナルな演奏となっていました。
東京公演では、もっともっと素敵な演奏をして下さるだろうと確信致しております。

この公演は、幅広い選曲が為されていました。
例えば、スカルラッティの作品を山田さんが自らギター二重奏のために編曲して、
広島在住のギタリスト、藤井康生さんと共演する一方で、
プログラム最後のピザティの作品は、事前に用意されているCDを流しながらの演奏で、
ギターもマイクで拾ったものをスピーカーから流すものでした。
クラシカルなものから現在進行形の現代音楽までをハイレベルな演奏で聴ける。
ここまでのクオリティのものはなかなか聴くことが出来ませんし、
個人的には、山田さんの現代音楽に対する姿勢に感銘を受けると共に、
大きな刺激を受けました。

ジャンルではなく、スピリットの問題としての「現代音楽の作曲」に臨む際、
私は、ある二つの文章を思い出します。

一つは、最も尊敬している一人である音楽家の言葉から。
プログレッシブ・ロック・バンド「KENSO」のリーダーであり、
医学博士(大脳生理学)の学位を取得した現役の歯科医でもあるギタリスト、
清水義央氏のブログ『THE BATTLE OF EVERMORE by Y.Shimizu
2000年12月4日の記事。

   時代は代わってもプログレは志の高い音楽であるべきだ。
   “売れない音楽”であることは、
   実はそのクオリティについて言い訳がきかないことでもある。
   来週までに5曲作らなきゃいけないといった締めきりもないし、
   カラオケで歌いやすい曲である必要もない、
   流行も気にしなくてよい。
   しかし、それだけに
   作曲者の意識の高さと演奏者の感性および演奏技術が問われるのだ。

座右の銘としてはちょっと長いかも知れませんが、
私にとって、それほどに大切な文章の一つです。

もう一つは、
「日本現代音楽協会・秋の音楽展2009」の公演パンフレット。
(この年度のテーマは、『人間性と共に歩む現代音楽』)
拙作が初めて公の場で音になった「第26回現音作曲新人賞本選会」を含むシリーズで、
この2009年度の日本現代音楽協会芸術監督であり、新人賞の審査員長でもあった、
チェリストの堤剛氏による冒頭の文章です。
これは概略のみにさせて頂きますが、
堤氏がアメリカへ留学していた時に師事されていたJ.シュタルケル氏から
今でも会う度に尋ねられる言葉として、
「今どんな作品を勉強しているか。最近初演した曲があるか」
というものを挙げていらっしゃいます。
このやり取り、なんだか好きなんです。
そして、堤氏はそれを実践していらっしゃいます。

閑話休題。
山田さんのリサイタルに、私はゲネプロから同席させて頂いたのですが、
特にピザティ作品に臨む際の妥協の無さは、私の心に深く刻み込まれました。
そして、私の作曲もこうありたい、と強く誓ったのでした。

公演の中身とは無関係に思える自分語りばかりになってしまいました。
それだけこのリサイタルはインパクトが強かったと思って頂けると幸いです。

先述の通り、広島公演とほぼ同一のプログラムでの公演が、東京でも企画されています。
9月16日(金)、「現代ギター社」ビルの中にある、
ギター専用ホールとして設計された「GGサロン」にて開催されます。
広島公演のチャペルという環境も興味深かったのですが、
この「GGサロン」で、拙作やピザティの作品がどのように聴こえるか、
今から大変楽しみにしている所です。

東京公演の詳細については、こちらのページをご覧頂きたく存じます。
山田さんのコメントと演奏の動画もご覧頂けます。

山田岳さんという素晴らしいギタリストと出逢えて、拙作《楓》を初演して頂けたこと。
未熟者ながらも作曲家として、仕合わせなご縁に感謝致しております。

広島では、この他にも楽しいことが幾つかございました。
それについては、また近日中に。
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