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流木。

流してしまえばいいんですよ。

今年も既に3ヶ月が経とうとしています。
ピアノ10台作品《Piano Function》の再演や、室内オーケストラ作品《思無邪》の初演など、
色々な経験をさせて頂いた3ヶ月間でした。

中でも、九州大学・大橋キャンパスで開催された『ひびき・ま・かたち~音楽場の創成~』に参加したことは大きく、
特に、パネラーとして出席したシンポジウムでは、
過去を振り返ることが苦手な私が、これまでの活動について語らねばならず、
「ご縁のおかげ」と一言で紹介して来た経歴を、自ら初めて紐解くことになりました。

「現代音楽には洗練の道しか残されていないのか?」という問いから、
「運・鈍・根」という言葉を挙げて行く中で、紹介したい一冊の本が思い浮かびました。
箭内道彦さんが2008年に出された『サラリーマン合気道』です。
拙作が公の場で全く演奏されなかった頃に出逢った本で、
いつか面白い仕事をするんだと強く思い込みながら読み進めていましたが、
最近では必要無いと勘付いてしまったのか、この本を手にすることすら無くなっていました。

シンポジウムのレジュメを作りながら、何故か手に取った時、
副題にある「『流される』から遠くに行ける」と、
帯に書いてある「相手の力を利用すれば実力以上の仕事ができる!」に強く共感しました。
今の私の作曲活動そのものの言葉だったのです。
言葉として覚えていた訳ではありませんが、きっと心身に沁み込んでいたのでしょう。

象徴的なのが、この九大のイベントで初演された《Waterfalls》です。
フルートの永井由比さんとギターの山田岳さんのために作曲した3作目。
例えば、タイトルは永井さんが前作《Waterscape》の初演後に提案して下さったもので、
難しいフレーズが延々と続くのは、山田さんが同じく前作の初演後に、
「その楽器らしさから離れるためにも、たまには弾き易さを考えずに作曲してみたら?」
みたいな助言を下さったことに影響されています。
極めて短い機械的な単純作業ではなく、フレーズの塊を繰り返すことによって、
儀式のトランス感のように演奏へ没入するイメージは《Piano Function》で得たものです。
(functionには機能や関数だけでなく、儀式という意味もあり、作曲のテーマとして昨年から掲げています)

また、クラップや足踏み、楽器を叩いてのクリック音、声の使用などは、
如何にも現代音楽らしいと私が偏見を持っていた要素で、以前から出来るだけ避けて参りましたが、
本作では発想の最初の段階で、不可欠なものだと確信しておりました。
昨年の迷いの12作品を経て、イメージの発端から時間を掛けて吟味・抽出したアイデアで作曲するのではなく、
例え不格好でも、時間を掛けない内の閃きや妄想を重視しようと思い至ったことも関係しているでしょう。
「らっこ、らっか、らっこ、らっか、、、らっきー!」「フォーーー↓↓↓リン、ラブ↑!」
なんて言葉が私の音楽から聴こえて来るとは、自分でも思っていませんでしたもの。
演奏のお二人が「新境地」や「学生より若い作品」と評して下さったこと、
学生だけの打ち上げで曲中の言葉が飛び交っていたらしい報告を頂いたことが、とっても嬉しかったです。

「流される」と云えば、委嘱を受けるかどうか判断することも含まれるかも知れません。
普通の賢さで生活を真面目に考える作曲家であれば、
委嘱のタイミングや自分の作風との相性、委嘱料の金額が適正かどうかを判断して、
場合によっては、委嘱を断ることだってあるでしょう。
私だって、練習や本番に立ち会う旅費交通費だけでも頭を痛めておりますが、
そうやって誰かが断った仕事が田舎暮らしの私までわざわざ回って来ることもあって、
物事を長期的に考えられない私は、喜んで引き受けてしまうのです。

私なんかより才能がありそうな作曲家たちが、周りで筆を折りそうになっているのを見て、
一晩寝たら嫌なことの大半は忘れてしまう、というか、嫌なことにも気付けていないであろう鈍臭さで、
一般常識として知っておくべきことや世間体に疎くて、他人から見たら道化みたいなことを平気でやっていることが、
作曲を続けられることに繋がっているのかな・・・と、ぼんやり思う今日この頃です。

あと、編成とタイトルが決まった時点で、身近な人に相談するようになりました。
(私は、作品のコンセプトを端的に表すものとしてタイトルを決めてから、最初の音を発想しています)
音楽に精通している特定の誰かに、全ての作品で毎回相談している訳ではありませんが、
相手からアイデアを頂くのではなく、私の話を楽しそうに聞いて頂けるかどうかを観察している感じでしょうか。
タイトルを含め、それまでに無かったような作品が昨年から出て来たのは、この影響が強いです。

余計な力を入れない、つまり「脱力」した状態を保つことで相手と気を合わせ易くし、
相手の力を利用して相手を倒してしまう合気道。
周囲の意見に影響を受けて蛇行しながらも、仕事を着地させるクリエイティブ合気道。
それは姑息な手段で、自立した芸術家にあるまじき態度かも知れません。
でも、出自さえ分からないような流木にドラマや価値を見出すこともあるでしょう?
こうした奇特な巡り合わせ、ご縁のおかげで、私は実力以上の作曲活動を続けさせて頂いております。
やりたいことをやりたいようにやって来なかったおかげで、今の私の音楽があるのかも知れません。
私にとっての、歪んだ修行期間真っ只中です。
独学や田舎暮らしだということも含め、現代音楽で名を成したい人には絶対に薦められない手段ですけど。

ただ、自ら道を切り拓かなければならない、という気持ちも常にあります。
特に九大のイベントを経て、今週のとある出来事の後、その気持ちはより強くなりました。
海外とのやり取りが少しずつ増えて来て、彼らの積極性に感化されている部分もあるでしょう。
相変わらず矛盾だらけで、袋小路でぐるぐる悩んで、ようやく見つけた出口も回り道だったりしますが、
ご縁を大切にしながら相手と向き合うことで、少しでも面白い音楽を作り続けて参ります。

現在、あるアンサンブルのための編曲を行っています。
コンサートに伺ったり、CDを繰り返し聴いたりしながら、いつか一緒に仕事するんだと願い続けた方々。
作品の魅力を引き出すセンスも技量も私に欠けていると思われているのか、
編曲の仕事を頂くことがこれまで殆ど無かったので、二重に嬉しいご依頼です。
その次に作曲予定の委嘱新作にも、初めて挑戦する楽器が含まれていますが、
参考資料として購入した下山一二三氏の作品がカッコ良過ぎて、めちゃくちゃテンション上がっています。

以上、長くなりましたが、今年最初の3ヶ月のまとめと近況報告でした。
どんちき♪┌( ^ω^)┘どんちき♪└(^ω^ )┐どんちき♪┌( ^ω^)┘
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