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大橋。

ひびき・ま・かたち1  ひびき・ま・かたち2

14日から16日まで、九州大学・大橋キャンパスにて、
ひびき・ま・かたち~音楽場の創成~』が開催されました。
九州大学大学院芸術工学研究院ホールマネジメントエンジニア養成講座の主催で、
「平成25年度文化庁大学を活用した文化芸術推進事業」でもあった本企画。
とっても貴重で贅沢で刺激的な3日間となり、精神的にもリフレッシュ出来ました。
以下、時系列とは逆になりますが、私なりに簡単にまとめて参ります。

音楽空間への試み

16日に多次元デザイン実験棟ホールで開催された第2コンサート「音楽空間への試み」では、
ギターの山田岳さんとフルートの永井由比さん、
建築音響学、尾本章先生たちのVRAWS(反射率可変の壁面音響システム)によって6作品が初演され、
拙作《Waterfalls》も素敵なステージとなりました。

フルートとギターによる、ラヴェルの水に因んだピアノ作品3曲を引用した三部作の最後となる本作。
Watercolor》では《水の戯れ》を、《Waterscape》では《オンディーヌ》を引用しましたが、
残る《洋上の小舟》を引用したのが、この《Waterfalls》です。
アップテンポの舞曲にしたいと考えていた所、
永井さんから「waterfall(滝)はどうか」とタイトルのご提案を頂きました。
滝を描写する意図は無いものの、最近の拙作で疎かにしがちだった、
音の運動エネルギーに特化した作曲が出来るかも知れないと思い、これをタイトルとしました。
複数形にしたのは、前2作の「water+5文字」に揃えるためです。

本作も八音音階を採用しています。すなわち、C, D, Es, E, F, As, A, B。
「waterfalls」に含まれる四つの音名(A, E, F, s = Es)と、
この完全4度上となる四つの音名(D, A, B, As;Aが重複)。
あと、BとDが長3度離れていたので、間にCを加えました。

この三部作は、引用についての考察です。
《Waterscape》では、ゲーム音楽の時間感覚を応用しようと考えました。
最後となる本作のテーマも、引用と時間。
いわゆるミニマル・ミュージックのそれとは異なる、ヒップホップの抜き差しに近い、反復の試みです。
「waterfalls」からTLCを連想したことも影響しているでしょう。

また、先述のVRAWSを用いての公演だということが、作品の内容に反映されただろうと思います。
VRAWSというのは、コンサートホール等で感じるような残響を仮想の壁面で表現する音響システム。
音の反射率が可変であるため、一つの空間に様々な響きの質を作り出すことが可能で、
演奏される音楽の内容に適した(客席を含む)空間を創造する可能性を持っているとのこと。
オペレーターの方々には「どうぞ実験台として、自由に試みて下さい」とお伝えしましたが、
リハーサルを経て、作品の本質を引き出す響きを創り出して下さいました。
良い意味で、響きが劇的に変化しないことがVRAWSの魅力の一つでしょう。
現実世界の実質的で本質的な部分を何らかの形で提示する技術、
つまり「バーチャル・リアリティ」が成立した、念願の音楽場の一つだとも感じました。

他にも、昨年の《Waterscape》初演後に由比さんと岳さんから頂いたアドバイス、
例えば「その楽器らしさから離れるためにも、たまには弾き易さを考えずに作曲してみたら?」
などを踏まえた結果、今までの拙作に無かった要素が多く含まれる音楽となりました。
本当に弾き易さを度外視したため、演奏ではご苦労もあったようですが、
お二人が「新境地」や「学生より若い作品」と評して下さったことが嬉しかったです。

逆に申せば、青臭くて未熟な作品だっただろうと思いますが、
後述するシンポジウムの最後に語った「音楽を洗練させない」ということ、
洗練への力学が働かない環境での創作を強く意識した最初の作品でしたので、
目的は達成されたと考えております。
思い付いたアイデアをそのままの状態で提示する、とも云えるでしょうか。
今回の環境でなければ、生まれ得なかった作品でした。
スコアの抜粋が本記事の最下部にございますので、もし宜しかったら、ご笑覧下さいませ。

音楽場としての九州

15日は大橋サテライト・ルネットにて、シンポジウム「音楽場としての九州」がありました。
中村滋延先生がコーディネータとなり、小畑郁男先生と私がそれぞれの創作活動、
ならびに、創作上の規範をどのようなコミュニティから得ているのか語りました。

私は、創作活動は「ご縁のおかげに他ならない」という前置きから、
ピアノ10台作品《Piano Function》を演奏した、
おおすみ-かごしま芸術祭2013」と「ストリートピアノオーケストラ」を中心に説明。
最後は先述の通り、「現代音楽には洗練の道しか残されていないのか」という問いから、
「運・鈍・根」という言葉や、私が一番影響を受けたかも知れない箭内道彦さんの著書、
「サラリーマン合気道~『流される』から遠くに行ける」の一文、
「相手の力を利用すれば実力以上の仕事ができる!」を紹介して終わりました。
内容を厳選した原稿を準備出来ておらず、駆け足となってしまったことは猛省しておりますが、
二つのイベントを面白いと思って頂けたようですので、取り敢えずは良かったです。
「音楽の風土」について語った小畑先生が、
「如何にも鹿児島らしい発想」と仰ったのが印象的で、とっても嬉しかったです。
後半の質疑応答では質問が幾つも出されて、
客席にいらした檜垣智也さんの発言にも注目が集まり、思いの外、盛り上がりました。

拙作が公の場で演奏されるようになって4年半ほど。
レジュメを作りながら、初めて気付いた点も幾つかありました。
先述の「ご縁のおかげ」を自分なりに分析したことで、更に進むことが出来そうです。

14日、多次元デザイン実験棟ホールでの第1コンサート「空間音楽への試み」は、
檜垣智也さんのアクースモニウム・ライブ(自作やピエール・アンリ、クリスチャン・ザネジの作品など)、
川崎弘二さんと檜垣さんの対談「空間とアウラ」、
山田岳さんと檜垣さんによる、ギターとテープのためのミシェル・ファン・デル・アー作品の演奏、
福岡を中心に創作活動を展開していた故・今史朗氏の電子音楽など盛り沢山の内容。

私はアクースモニウム初体験。
TwitterやFacebookで頻繁に目にする言葉でしたし、とにかく楽しみにしていた公演です。
今回のプログラムでは、ドニ・デュフール《忘却のタンゴ》が特に好きでした。
本企画では24個ほどのスピーカーを用いた、演奏の一形態としてのアクースモニウム。
万博的・パビリオン的な音の動きとは違い、スピーカーの距離による波形の崩れ方までも活かして、
リアルタイムで人間がオペレートしているという、一回性の面白さまで感じられるのが特徴とのこと。
音響結果だけが目的ではなく、音を動かす要素は二の次、三の次であり、
適切な音量で上手く響かせることが第一だという檜垣さんの発言が印象的でした。
檜垣さんは終演後、私の拙い質問にも答えて下さいました。感謝。
アクースモニウムを体感出来る次の機会が、今から待ち遠しいです。

中村先生と尾本先生を始めとする九州大学の皆様、ご出演の皆様、
そして、ご来場の皆様、誠に有難うございました。
九大・大橋キャンパスでしか実現し得ないであろうイベントに参加出来て、
意欲ある優秀な学生の皆様と色々と語り合うことが出来て、仕合せな3日間でした。
福岡というよりも、大橋キャンパスにまたお伺いしたいです。

Waterfalls1  Waterfalls2
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