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回鼓。

11/17(日)14時より、西荻窪のトリアギャラリーにて、
WINDS CAFE 203『打楽器、百花繚乱』が開催されます。
出演は、雑誌「AERA」11/11号でも名前が紹介されていた気鋭の打楽器奏者、會田瑞樹さん。
プログラムは、清水一徹さんの委嘱新作、會田さんによる自作自演、
彼が委嘱・初演して来た末吉保雄、水野修孝両氏のヴィブラフォン独奏曲などが予定されています。
http://www.st.rim.or.jp/~mal/Cafe/

今日は、本公演で初演して頂く膜質打楽器のための拙作《回鼓録》をご紹介致します。

會田さんのために作曲させて頂くのは今回で3回目ですが、
膜質打楽器のための独奏曲というお題に、最初はかなり悩みました。
その一番の理由は、旋律を奏でられる楽器が無いということ。
音階を表現出来るような太鼓の存在は知っていますが、
出来ることなら、現代音楽の現場でなくても有るような打楽器のみを使いたかったので、
ボンゴとトムトム、バスドラムのみで「歌い上げて頂こう」と決めました。
(但し、楽器の変更は、膜質打楽器の範囲で奏者に一任しております)
そして、彼に初演して頂いた独奏ヴィブラフォンのための《moonlight dancer》と、
ソプラノとヴィブラフォンのための《螢》がいずれもスローな音楽でしたので、
本作では彼のアグレッシブな面を強調したいと計画しました。

作曲をするにあたって、彼にとって思い出深い11名の名前を挙げて頂き、
そのモールス符号を曲中で用いることにしました。
タイトルはこれに由来します。
尚、男性はアルファベット、女性はカナのモールス符号を用いましたが、
それぞれのお名前については、こうしたメディアに登場されていない方も多く含まれていますので、
私からのご紹介は控えることに致します。

ちなみに、挙げられた名前は、メールに記載されていた順に用いています。
作曲の都合が良いように並べ変えようかとも思っていたのですが、
會田さんが挙げて頂いたそのままで、面白いリズムに構成されていると感じたためです。
なので、本作の真の作曲者は、
會田さんと、彼に素敵な出逢いをもたらした仕合せなご縁の数々だと考えております。

このように、委嘱・初演者に所縁のある人名による作曲は、
例えば、松平頼暁氏の《井上郷子のための名簿》が挙げられるでしょう。
また、独奏打楽器の名作と言われる音楽は既に幾つかありますが、
本作は特殊奏法の類は一つも使っていないと、私は考えておりますし、
北爪道夫氏の《サイド・バイ・サイド》や、
池辺晋一郎氏の《スネアは唸り、そして飛翔する》などを知っていれば、
私が本当にベタなことしかやっていないと分かるのではないでしょうか。
それでも、私なりに、己の作曲を目指したつもりです。

ここで、長めの余談を一つ。
今年の上半期に初演された6作品について、私の低調を心配する声が幾つか聞かれました。
「音楽に美しさが無くなった」「機械的なフレーズばかりで演奏者が可哀想」
「単に支離滅裂なだけ」「奇を衒うようになった」「技術を過信するようになったのではないか」等々。
私の好きなアーティストに掛けて「ご乱心」と表現された方もいらっしゃいました。

これには幾つか理由があったのですが、
昨日のブログで紹介した新作と、その先に向けてテンションを上げていきたい、
それには、現在取り組んでいる作曲の方法を絞り込んで突き詰めることが必要だろう、と考えたためです。
創作の瞬間において、為すべきことをはっきりさせることが大切で
自分の考えや興味を最も鮮烈に作品化させることを目指すべきだ、と。
結果を二の次にする形で、技法やコンセプトに偏り過ぎていることは承知の上でした。

結果として「ファンクション」と「リスケール」という二つの言葉に辿り着くのですが、
その過程で最も重要だったと感じているのが、先述の《螢》という歌曲です。
(言葉の詳細については、また別の機会に、、)

會田さんがソプラノの溝淵加奈枝さんと開催されたデュオ・リサイタルで初演された本作は、
モールス符号によって決められたフレージング、ほぼシステム通りに作られたメロディで構成されていて、
記譜した上で不確定となるような要素も積極的に取り入れました。
このこと自体は他の作品でも試みているのですが、一番の違いは、人の声で試みたということです。
お二人による初演は素晴らしいものだったと思いますが、
幾ら演奏が良くても、いや、だからこそ、曲の劣悪さが露呈されることになりました。
初演後、私の筆の乱れを心配して、わざわざメールを下さった先輩作曲家もいらっしゃいました。
未だに、お二人に対する申し訳無い気持ちが残っております。

ただ、私なりに複雑な作曲を一度やり切ったおかげで課題も見えて来ましたし、
正直な所、気分も晴れやかでした。
何より、その後の作曲では、システムに基づきながらも柔軟さを手にしたように感じております。

その後、
「ファンクション」という言葉を初めて考えた、ピアノ10台のための《Piano Function》と、
「リスケール」という言葉を初めて考えた、トイピアノのための《星屑》を経て、
その次に「ファンクション」の実践として作曲したのが、今回の《回鼓録》でした。

下に紹介する《moonlight dancer》もそうですが、私の取るに足らない作曲の足跡を顧みた際に、
會田さんに委嘱された作品というのは、ちょうど区切りとなっているように感じられるのです。



《回鼓録》は直球勝負の作品です。
「主情」に根差した作品への眼差しを深めようと、常に挑戦されている會田さんと対峙するには、
この音楽しかないと思い、書かせて頂きました。

拙作に限らず、きっと充実の音楽を會田さんは立ち昇らせることでしょう。
彼の打楽器を存分に味わえるであろう本公演に、是非ご来場下さいませ!



WINDS CAFE 203「打楽器、百花繚乱」
【日時】2013年11月17日(日)13:30開場/14:00開演
【会場】トリアギャラリー(東京・西荻窪)
【出演】會田瑞樹(perc)
【料金】入場無料(投げ銭方式)
http://www.st.rim.or.jp/~mal/Cafe/

【プログラム】
會田瑞樹:Improvisation for WINDS CAFE(仮題)
Siegfried Fink:Snare Drum Suite より
末吉保雄:西へ・・・
水野修孝:ヴィブラフォン独奏のための三章
清水一徹:Ichnographia 2(委嘱新作)
田口和行:回鼓録(委嘱新作)

※ プログラムは曲順未定。
※ 出入り自由ですが、できるだけ開演時刻に遅れないようご来場ください。
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