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歌曲。

8月30日、津田ホールで開催された、
波の会日本歌曲振興会主催『第八回 邦楽器とともに』にて、
私が会員外から出品した《けやき並木》が、
バスの伊東剛さんと尺八の元永拓さんによって初演されました。
詩の藤井慶子さんにはゲネプロで初めて聴いて頂いたのですが、
内容に反するような作曲をした箇所もあったので心配もありましたけど、
気に入って頂けたようで安心しました。

記事の一番下にスコアの抜粋を載せておりますが、
親しみ易い日本歌曲を求める方々には受け入れ難い内容だったかも知れません。
それでも、何人かの方が休憩時間や終演後に好意的なご感想を仰って下さいました。
「能の舞台を観ているようだった」というご意見もありましたが、
それは確実に、伊東さんと元永さんの熱演のおかげです。
ゲネプロの後、お二人で「対決しましょう」みたいなことを仰っていましたもの。

休憩時間に真っ先に声を掛けて下さったのは作曲の増本伎共子さんだったのですが、
その増本さんのグループは別格と申しましょうか。大変素晴らしい内容でした。
(詩:貞松瑩子さん、メゾソプラノ:青山恵子さん、尺八:小湊昭尚さん、ヴァイオリン:伊師裕人さん)

さて。
武蔵野のけやき並木が都市開発により伐採されたことを題材とした本作でしたが、
私の勝手な意向で、社会的なメッセージを声高に謳うような音楽は避けました。
詩の最後は感嘆符が多用されるのですが、だからこそ、ピアニシモで表現しています。
衆生より上の次元の存在があるとすれば、もしくは、未来から現在を見つめる存在があるとすれば、
彼らの視点で、この痛ましい詩に曲を付けたいと思いました。
更に申せば、詩の物語性には曲を付けておりません。
日本語として聴かずとも、このメッセージが伝わって欲しい。
そのように大それたというか、相変わらずの厚顔無恥なテーマで取り組みました。

とは云え、日本語の表現として、無理なことは一切求めていないつもりですが、
ただでさえ、歌のスピードで語られる言葉を聞き取るのは難しい訳ですから、
音となった時に伝わり辛いであろう言葉は、藤井さんにお願いして、修正して頂きました。
例えば「緑陰」という言葉は音も美しいのですが、
この前後を幾ら工夫しても、この漢字を思い浮かべることは困難でしょう。
男声は言葉を比較的聞き取り易いようですが、それでも注意深く作曲したつもりです。
若造の勝手な要求にも、私の親よりも上の世代となる藤井さんは笑顔で対応して下さいました。

同じくベテランの声楽家である伊東剛さんですが、
作曲前に「僕と喧嘩して下さい」と言われたこともあって、かなり厳しいスコアを歌って頂きました。
藝大の声楽科を出る前に同大の作曲科を出られていたことも無関係ではないと思いますが、
いずれの音にも意味を求めるようにスコアをかなり深く読み込んで下さり、
自身と私の意図の擦り合わせにも多くの時間を割いて、ミュージカルや舞台の経験も反映させながら、
上述のような大きな存在としての歌い手を見事に演じて下さいました。
スコアが届いた時には、私の首を絞めたくて仕方なかったそうですけどね。
日本的な発声を一切取り入れないという意見にも賛同して下さり、
おかげで、本作で私が求めた日本歌曲を実現することが出来ました。
このような発言はいけないのかも知れませんが、それでも思わずにいられないのは、
歌曲を生かすのも殺すのも、ほぼ全て、歌手に懸かっているということ。
私にも、好きになれない歌声がありますもの。
その意味でも、伊東さんに歌って頂けて光栄でした。

尺八の元永拓さんは、2011年にも私の作品を演奏して下さったのですが、
その時の反省を活かしながら、今回の尺八のスコアを作曲致しました。
本作では長管尺八、しかも、多く用いられるA管ではなく、B♭管(二尺二寸管)を使用したのですが、
これは元永さんからのご提案で、作曲前にはご自宅で長管尺八のレクチャーまで行って下さいました。
伝統的な技法から大きく外れることは求めていないものの、それでも難曲であることに違いなく、
私の作風を理解して下さっている元永さんだからこそ、実現出来た本作だったと思います。
また、現在は日本音楽集団の運営委員長を務めていらっしゃいますが、
その定期演奏会で多く使用するのが、この津田ホール。
会場の特性を熟知していることに加え、ゲネプロの録音を聴いて更に修正を加えた演奏のおかげで、
伊東さんの重低音に掻き消されることなく、尺八の魅力を損なわない音で、
この特異なデュオを成立させて下さいました。
伊東さんも、元永さんと一緒だと歌い易いと仰っていましたが、
古典や現代曲だけでなく、昨年は、ももクロの西武ドーム公演でも演奏されるなど、
(《ニッポン笑顔百景》を拝見して、私も驚きましたが、、)
国内外で幅広い活動を展開されていることも、きっと影響していることでしょう。
終演後に再演したいと仰って下さったことも嬉しかったです。

正直、公演に対して思うことは幾つもありました。
その辺りは、私を含めた5名で開催した二次会で、幾つかお話しさせて頂きましたが。。
これがまた、面白い顔ぶれでした。

西洋音楽の声楽家と和楽器の共演というのは、作曲のハードルがかなり高いですが、
まだまだ面白いことが出来そうだと感じております。
関係者の皆様、ご来場下さった皆様、何となく気にして下さっていた皆様、
誠に有難うございました!

けやき並木1 けやき並木2 けやき並木3
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