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閉幕。

ピアノ10連奏

今日は「おおすみ-かごしま芸術祭2013」が閉幕しての雑感を書きます。
講評などではなく、飽くまでも自分語りなので、悪しからず。。

ピアノ10台のための《Piano Function》がかなり好評だったようです。
現代音楽作曲家のピアノ10台作品なんて、
どうせクラスターかミニマルかドローンか点描的な内容だろうと思っていたら、
しっかりオーケストレーションされていて、
空間を活かした音響作品としても十分に楽しめた。
そんな内容のご感想も頂いております。

先日も書きましたが、これは芸術祭発起人のJOUさんと松本充明さん、
ご出演頂いた10名のピアニスト、
高橋英明(mjuc)さん、室屋麗華さん、坪田真理子さん、川野浩美さん、有川陽子さん、
桑水奈々恵さん、上野恵大さん、日高研仁さん、川口愛梨さん、松薗鮎佳さん、
ピアノ集めや出演者のコーディネートにご尽力頂いた島津楽器 CUREO HALLの皆さん、
そして、熱い眼差しで初演を見守って下さった多くのご来場の皆さんで、
《Piano Function》というプロジェクトを一緒に創り上げた結果だと感じております!

確かに(特に私の指揮の)ミスも多く、でこぼこのアンサンブルでしたが、
ヘテロフォニーという言葉を使わずとも、ずれることを前提に作曲した訳ですから、
更に練習を進めたら、互いの音色を揃えようとする欲も芽生えたかも知れませんし、
あの剥き出しになった荒々しさは削がれてしまっていたことでしょう。

川上中学校6  川上中学校7

何度も書いていますが、即興パフォーマンスが殆どを占める本芸術祭において、
構築を重んじて、スコアを介して表現するスタイルの現代音楽作曲家である私は、
一体、何をすれば良いのか、かなり悩みました。
音楽の境界を探ろうとして、結局はケージをなぞるだけだったり、
聴衆参加型のしょっぱいワークショップ作品だったりは、とにかく嫌でした。

また、私の新作初演の直前は、エドツワキさんとコトリンゴさんの即興パフォーマンスで、
直後には高橋英明(mjuc)さんのライブ・エレクトロニクス作品が待ち構えている訳です。
これらと対峙し得る、PAを用いないアコースティック作品とはどのようなものなのか。
いつものように、指定された楽器以外の小物や、奏者の発声・発話はなるべく使いたくない。
ピアノ10台だけで成立する、屁理屈なんて吹き飛ばすような強さを持った音楽とは。。
通常の現代音楽公演では意識しなかったようなことを沢山考えざるを得なくて、
作曲中、ずっと興奮していたのを覚えています。

今だから書きますけど、
私は《Piano Function》と、それに関するプロジェクトに自信がありました。
それ故の不安もありましたし、SNS鬱だと言われても仕方ないくらいに、
特に身近な友人・知人からの反応が薄いことを心配していました。
やりたいと思っても実現するのが大変困難で、
殆ど誰もやったことが無いようなプロジェクトなのに、
無名で端役的に扱われている作曲家が関わっているせいで、
なかなか話題に上らないんじゃないか。
鹿児島の片田舎で行われているようなことは、
他の地域では無かったことになっているのではないか。
被害妄想みたいな気持ちもあって、初演までの数日間は、特に辛かったです。。

言葉は悪いかも知れませんが、現場に居なかった人達が後悔するような、
とてつもなく凄まじい初演を実現しましたよ!

川上中学校1  川上中学校2

また、即興パフォーマンスを間近で体感して、終演後に客の立場で出演者と会話すること。
これだけであれば、今までに何度も経験していますが、
一緒に食事して、お酒を飲んで、同じ車で移動して、
という一連の流れは初めての経験でした。
しかも、不遜な言い方をしますと、
芸術祭参加アーティストという対等な立場で経験出来た訳です。
現代音楽の界隈で活動している時に感じる疑問も、幾つもぶつけました。

昨日のブログでも少し触れましたが、いつからか現代音楽の公演よりも、
即興系のライブに伺うことが増えた私の東京滞在。
ただ、私の作品からその影響は感じ取れないかも知れません。
意識的に避けていたのも事実ですが、今年からは、私なりに消化した形で発表を始めました。

川上中学校3  川上中学校4

例えば、4月に初演されたソプラノと打楽器のための《》という作品。
実際のステージではグラス・ハープの使用が禁止されたこともあって、
即興パフォーマンスの影響下にある作品だという印象は薄かったかも知れませんが、
歌の旋律とヴィブラフォンが奏する旋律の距離感だったり、
既存の短歌を敢えて音響詩のように取り扱ったり、拙い筆なりに挑んだつもりです。
ただ、その態度が作曲上の技巧に走ったように感じられたようで、
せっかく委嘱者のお二人は良いパフォーマンスをして下さったにも拘らず、
自分の未熟さばかりが目立つ初演となってしまいましたけど。。

でも、田中悠美子さん、POLさん、松本充明さんの即興パフォーマンスを体感して、
松本さんの計らいで、田中さんに音響詩に関する質問をさせて頂いて、
あの《螢》も間違いではなかったと、ようやく受け止められるようになりました。

川上中学校13  川上中学校12

だからと云って、私のスコアが即興や偶然性ばかりの指示になるとは思えませんし、
本芸術祭を経験したことで寧ろ、構築・構造性への興味が今まで以上に強まっております。
また、ステージ上で生身の人間が楽器を奏することが、
自分の音楽には不可欠だと確認出来ました。

確かに、各楽器の本来の良さ、未知の可能性を追求するには、
その楽器の演奏者が自ら音を紡ぐ、想いに任せて奏でることがベターでしょう。
でも、今回のようなピアノ10台という編成の場合、
これを自らの楽器に化かすことが出来るのは、作曲家の仕事だと思うのです。
新しい時間体験といった課題もまた、同様に含まれるでしょう。
そのヒントは既存の現代音楽よりも、即興パフォーマンスや、
視覚領域にも挑み続ける芸術家の存在から得られるものかも知れません。

川上中学校8  川上中学校16

現代音楽が求め続けた様々な事象の中には、
既に他の分野で十分に実現されているものもある。
このことが現実である以上、私は今までよりも大きな足取りで前進しなくてはならない。
現代音楽が、自らを無視する他ジャンルの後追いを続ける、
そんな現状を覆さなくてはならない。

若くて素晴らしい演奏家が日本で何人も現れているのに、
作曲家が全く追い付けていない現状がこれから変わっていけば、
10年後くらいに現代音楽はブレイクスルーを迎えられるだろうと期待しております。
それが業界内の小さな風穴で終わるのか、
その頃には私の興味が失せているのか、分かりませんけど。

川上中学校10  川上中学校11

余談ですが、再来年くらいに東京で個展を開催したいと考えています。
これは友人の演奏家たちから提案されたもので、
社交辞令を本気だと捉える私は、具体的に計画を立てているのですが、
彼らが薦める会場が大それたホールなので、
金銭的な問題もあって、躊躇しているのも正直な所。。

鹿児島でしか演奏されていない作品や、自分では気に入っているのに、
なかなか再演の機会を得られない作品などを集めたいと思っていますが、
個展というよりかは、アンサンブルのデビューライブみたいな雰囲気にしたいのです。
しかも、現在考えているメンバーに、
本芸術祭で出逢った方々が入ったら、一体どうなるだろうか。。
それこそ出演料が一体幾ら必要なのか分かりませんし、荒唐無稽な妄想なのですが、
現時点での個展の計画書を破棄して、もっと小さな規模でも良いから、
何か面白いことをしたいと考えるようになりました。

昨年、会社でも作るつもりか?と東京で訊かれましたが、
形式は違えど、似た発想なのかも知れません。
これ以上、出費を増やしてどうする?って話ですけどね。
近しい周囲に迷惑を掛け続ける私は、きっと、ろくな死に方をしないでしょう。

川上中学校14  川上中学校15

私は独学で、クラシックを幼少から聴き込んでいた訳でもなく、未だに田舎暮らしです。
それなのに、作品が他者と大きく変わることはありません。
悲しいほどに没個性です。
私は私の音楽を見つけなければならない。
本芸術祭で出逢ったアーティストの多くは、自分の様式で表現に挑む方々でした。
個性という言葉は嫌いですが、独自の無名性という態度は、きっと在り得るでしょう。

大学生の頃、アコギでインストをされる方々の生活スタイルや、旅先での出逢いに憧れて、
どんなに下手でも音楽を続けようと決心しました。
でも、在宅介護のために実家へ戻り、
ギターを持って自由に行き来することが難しいと思った私は、
己の音楽をスコアに託して、何処かの誰かが演奏してくれることを望むようになりました。
(もっと細かい話は色々とあるのですが、ここでは割愛。大雑把に、、)

2009年11月に初めてスコアが音になるまで、取り憑かれたように考えていたことを、
おおすみ-かごしま芸術祭2013」は思い出させてくれました。
現在、あるスコアはドイツで出版され、
また別のスコアは違う国でも演奏されようとしています。
CDになったものだってあります。

誰かと繋がること、別れること、再会すること。
まだまだ面白い音楽と出逢えそうな予感が致します。

何だか分からない話になって参りましたが、
本芸術祭に参加出来たことは、私の大きな財産となることでしょう。
今は気付けなくても、もしかしたら10年後、
ここが分水嶺だったと分かるのかも知れません。

幾つもの出逢いに感謝!
そして、これからも宜しくお願い申し上げます!んちょす!(*´v`*)

ピアノ10連奏a

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