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未知。

8/4(日)、島津楽器 CUREO HALLで開催される、
おおすみ-かごしま芸術祭2013~志布志クロージング」にて、
ピアノ10台のための《Piano Function》が初演されます。

コンテンポラリーダンス作家のJOUさんと、
視聴覚作家/サウンド・パフォーマーの松本充明さんが発起人となり、
7/19より県内9市町27会場で開催されている「おおすみ-かごしま芸術祭2013
その最終日に志布志の島津楽器 CUREO HALLで初演される本作は、
「店内のピアノを一斉に演奏したらどうなるか?」という、
松本充明さんと島津楽器の上山大輔さんの発案によるものです。

同様の発想はスティーヴ・ライヒ《Six Pianos》にも見られますが、
本作ではミニマル・ミュージックよりも、
ガムランなどアジアの音楽に多く見られるヘテロフォニックな要素を参考にしました。

アコースティック楽器の中ではデジタルな印象のあるピアノですが、
10台のピアノの調律が僅かにずれること、
3本の弦をトレモロすることで弦の振動の位相がずれること、
最低音域と中間音域を同時に鳴らすことで自然倍音と調律音の差音が多く発生することなど、
ヘテロフォニックな効果を随所で求めました。
譜面上はピュアな音響に見えるかも知れませんが、
なかなか体験し得ない音響になるのではないかと期待しております。
また、殆どの箇所がト音記号で記譜されている、
つまり、中間音域から高音域を主に使用しています。
このようなアプローチはいずれも、敬愛する西村朗氏の作品に多く見られるものです。

使用するピアノですが、グランドピアノが3台、アップライトピアノが7台の予定です。
これらは会場の1Fロビーにて、楕円を描くように配置される予定ですが、
円の中心に強力な磁場を発生させる儀式を音楽上で展開したいと考えました。
そこで選んだタイトルが「function」です。
この言葉には「機能」や「関数」だけでなく、「儀式」という意味もあります。
奏者は巫女やシャーマンのような役割です。
「大音量で神々を振り向かせる」と書くと胡散臭く思えるかも知れませんが、
天の岩戸の前で踊ったアメノウズメのような感じ、と申しましょうか。
尚、ご来場の皆様には、円の内外で自由に聴いて頂く形になります。

余談ですが、多くの現代音楽の作曲家は、自分の「のれん」や旗印を持ちたがるようです。
初めて公の場で拙作が演奏された際、私は「深層心理の庭に咲く花に届く音楽」と主張しました。
その後も何度か同じ言葉を用いましたが、これでは長くて、語呂も悪い。
久保禎先生の「幾何学的にして耽美な固有の空間」という言葉が拙作をよく表していますが、
雑誌にも掲載された言葉なので、例えば、プロフィール文に引用する等、
様々な機会で使用して良いものか躊躇われます。
そういう時に、本作のタイトルを決めなくてはならず、セレモニーはあんまりだと思って、
ネットで色々と検索している時に見つけたのが、上述の「function」です。
数的なアプローチによる音楽への興味。
宗教観や宇宙観にも似た音楽への興味。
これらを同時に主張出来る言葉だと思います。

閑話休題。

作曲時に注意したのは、先ず、このように特異な編成ということもあって、
全員揃ってのリハーサルが本番当日の午前中にしか出来ない、ということ。
また、アップライトピアノの奏者は、前方の視界が塞がれてしまい、
奏者同士だけでなく、円の中央の少し高い場所に立つ指揮者も見えない可能性があるということ。
そして、殆どの奏者が現代曲のスコアは初体験であろう、ということ。

これらを踏まえて、ケージやライヒのピアノ6台の作品でもなく、
ジョン・ゾーンや大友良英氏のルールに基づく音楽でもなく、
佐藤聰明氏の初期作品でもなく、と探っていましたが、
一番悩んだのは、即興パフォーマンスが大半を占める本芸術祭において、
スコアを書いて音楽を実現させることの意義でした。

特異な編成ですので、どんなに拙い音楽でもある程度は面白がって頂けるのでしょうが、
でも、現代音楽の作曲家として時代に切り込める作品にしたくて、
本番当日に初めて全員が顔を合わせることや、アップライト奏者の視界を活かして、
私なりにコミュニケーションの問題などを音楽に反映させたつもりです。
また、結果的に、上述の音楽すべての影響下にある作品になったとも云えるでしょう。

趣旨にご賛同頂き、初演を実現して下さるピアニストは次の10名(パート順、敬称略)
音大出身者に限らず、現役高校生や一般参加者を含むユニークな顔ぶれです。

高橋英明
◆ 室屋麗華
◆ 川野浩美
◆ 坪田真理子
◆ 有川陽子
◆ 桑水奈々恵
◆ 上野恵大
◆ 日高研仁
◆ 川口愛梨
◆ 松薗鮎佳

尚、1番ピアノをご担当の高橋さんは、本芸術祭参加アーティストのお一人です。
当日は同会場にて、JOUさん、穴井佑樹さんと共に、
センサーと音響を使用したロビー・パフォーマンスも披露されます。

改めて申すまでもなく、ピアノ10台を集めるのと同様に、ピアニスト10名を集めるのも大変です。
松本充明さんや(株)島津 音楽事業部の皆様のご尽力に心より感謝申し上げます。

本作の初演は、本芸術祭とのコラボ企画である、
エドツワキさんとコトリンゴさんによる「Street Piano Project in 志布志」の後、
17:15から始まる予定です。
当日の芸術祭全体のタイムスケジュールに関しましては、以下のリンク先をご覧下さい。
http://2ndhometown.net/okaf2013/okaf2013/0804shibushi.html

10台のピアノが一斉に演奏される様は、それなりにインパクトがある筈。
これが未知の音楽となるのか、別に大したことの無い徒労で終わってしまうのか。

私は常々、現代音楽の作曲家が熟れた上手い作品を発表したら、
作家としての死期が迫っているのではないかと疑ってしまいます。
どんなに優れた技術や知恵を投入しても、初めて挑む内容であるが故に、
いびつで下手な作品が出来上がってしまう状態が健全だと考えます。
「一所懸命、でも、紛うことなき失敗作」という感じでしょうか。
作家の言い訳かも知れませんけどね。
東京や海外の動向にしか興味を持って頂けないのであれば、
私は、人知れず進化し続けたいです。

とにかく、ピアノ10台という編成において、現時点での私が考え得る最良の作品が、
この《Piano Function》であることに間違いはございません。
極端に前衛的なアプローチをせずとも、新しい音楽は切り拓けるだろうと信じる気持ちが、
深く刻み込まれていることでしょう。

幾つものご縁が織り合わせられて初演を迎えられる仕合せ。
このような編成ですから、ただでさえ再演は難しいでしょうし、
初演のメンバーが再び揃うのは、不可能に近いのではないかと思います。
会場全体で、一期一会の音楽を創り上げましょう!

8月最初の日曜日は、鹿児島県志布志市志布志町で過ごしてみませんか?
皆様のご来場を、心よりお待ち申し上げております(*´v`*)
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