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耽美。

リナシティかのや・3Fホールで開催された「樋園亮ピアノリサイタル」は、無事に終演致しました。
200名程度の方にご来場頂いたと伺っております。誠に有難うございました。

委嘱新作として初演された《How to be insensitive》も、どうやら好評だったようです。
ジョビンがショパンではなくスクリャービンの《プレリュード第4番》を愛していたら、というテーマでしたが、
JOBIMのモールス符号による変拍子のリフや、突然打ち込まれる不協和音など、コラージュ的な要素もありました。
このようにポップな内容がクラシックの公演で受け入れられるか少しだけ悩みましたが、
樋園さんのおかげで素敵な初演となった筈です。
(本記事の一番下で、スコアのサンプル画像を公開しています)

リコーダー奏者・作曲家の吉嶺史晴氏が、ブログで拙作について書いて下さいました。
拙作の初演経験もあって、ポップスの分野での私の音楽も知っている先生の批評はとても貴重で、
手厳しいお言葉も含め、私の励みとなっております。
ちなみに、私が構造を重視するようになったのも、先生の批評がきっかけでした。
http://blog.goo.ne.jp/fumiharumusic/e/9df6a6205436add6c48ee8561d4de16b
http://blog.goo.ne.jp/fumiharumusic/e/a7347fd1613b1d6ecccf4a5bb767b184



拙作を「耽美」だと最初に評したのは、作曲家の久保禎先生だったかと思います。
Trio Ku(米川さやか、山田岳、伊藤憲孝)が昨夏、鹿児島で初演した《スパークリング》について、
雑誌『音楽現代』の中で、「幾何学的にして耽美な固有の空間」と書いて下さいました。
耽美という言葉に退廃的・非道徳的な印象を持ちましたが、これは私の勉強不足。
この上ない表現に感謝しております。



吉嶺先生のブログに話を戻しますが、
若手の演奏家によって現代音楽は大きく変われるであろう時を迎えていると思います。
でも、少なくとも私は、彼らの魅力を十分に活かせる作品、
彼らと共に新たなステージに進める作品を未だ作れていません。

正直、拙作を初演して下さる演奏家の顔ぶれは、とっても豪華です。
バイエルも弾けないのに作曲家だなんて名乗っている身としては、贅沢以外の何物でもありません。
そして、彼らの音楽の可能性に、私は辿り着けていない確信がある。
拙作は当たり外れが激しいと仰る方は、ここを踏まえて批判しているのでしょう。
特に今年の上半期は、この点に於いて、自分の非力さを悔やみました。

私の音楽では、ゲンダイオンガクを聴きたい方々の欲求は満たせないのかも知れない。
何だか懐かしい音の配列が続く公演の中で、拙作は安易で単純過ぎるのかも知れない。
言葉遣い一つ取っても、貴方達と一緒に笑えないことが影響しているのかも知れない。

私は正直、迷っています。
その答えの一つが、今回の《How to be insensitive》でした。
最初の一音を書き始める前、タイトルが決まった時点で「これはイケる」と思いました。
おやじギャグみたいなタイトルですけどね。

佐村河内守氏が話題になった時、ある現代音楽作曲家は氏のことを「紛い物」だとツイートしました。
彼の定義だと、きっと私も紛うこと無き「紛い物」です。
でも、紛い物だろうが端役だろうが中退者だろうが独学だろうが、
現代音楽として提示したい作曲を志向する限りは、現代音楽のフィールドを中心に活動し続けます。
この業界の閉塞感に嫌気が差して、離れて往った人達の気持ちも分からなくもないですが、
面白い奴らだって未だ居るのだから、彼らと新しい世界を目指してみたい。

林修先生の「勝てる場所で誰よりも努力する」ではありませんが、
ジャンルではなく、本来の意味としての現代音楽がようやく生まれそうな今、ここを離れる訳にはなれません。

私の座右の書の一冊に、小室等氏の『人生を肯定するもの、それが音楽』(岩波新書)というエッセイがあります。
本書の軸の一つとなっているタイトルは、武満徹氏の言葉から。
もう一つの軸は、谷川俊太郎氏から小室氏が得た「おどおどしながら、しかし、退かず」という精神。
購入して10年近く経つ本ですが、今になって、この二つの言葉を強く噛み締めています。

次の初演の機会は、8月4日に島津楽器 CUREO HALLで開催される、
おおすみ-かごしま芸術祭2013」クロージング・イベント。
ここで、ピアノ10台のための《Piano Function》が初演されます。
昨日のリサイタル会場でも、本作を期待する声を幾つも聴きました。
エドツワキさんとコトリンゴさんによるライブパフォーマンスの直後、拙作の初演が始まる予定です。
http://2ndhometown.net/okaf2013/okaf2013/0804shibushi.html

「幾何学的にして耽美な固有の空間」という、こんなにも素敵な指針が私にはあります。
そこに皮肉とは異なるユーモアも加わったら、格別ですね。

いつも音楽を作り続けて、オーバーフロウし続けることが日常となった後、
きっと偶然や奇跡のように、今までとは違う何かが出て来るのかも知れない。
この時が来ることに、私は賭けています。

先日の記事と同じ締めになりました。
同じようなことを毎日、飽きもせずに考えている証拠かもしれません。

How_to_be_insensitive1 How_to_be_insensitive2 How_to_be_insensitive3
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