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HIROSHIMA HAPPY NEW EAR IX

(今日は、いつも以上に長文・乱文ですwww)

11日から3泊4日の日程で広島へ行って参りました。
この日は悪天候で、垂水フェリーは酷く揺れるし、
フェリー内のTVでは九州新幹線の一部で運転見合わせ中だと言ってるし、
予定の時間までに広島へ着けるか心配だったのですが、
運良く、徐行も運転見合わせも無い状態で、新幹線は走ってくれました。
そして、広島に着くと、真夏のような快晴。
天気予報は見ていたものの、ここまでだとは…。

タワレコに行って、ヤマハに行って、
アニメイトに行って、メロンブックスに行って、とらのあなに行って、
当然、平和記念公園にも行って、
そして、目的地、アステールプラザへ。
ここの「オーケストラ等練習場」というホールは室内楽には最適の環境です。
ただ、広島交響楽団の練習場とは云え、この名称は変えて欲しいかも…。w

そこで開催されたのは、「HIROSHIMA HAPPY NEW EAR IX」という、
現代音楽に特化したコンサート(古典がプログラミングされることも当然あります)。
音楽監督は、細川俊夫さん。
今までに何度か伺っているコンサート・シリーズですが、
こんなに緊張する公演は、他になかなかありません。
良い意味で、質の高い集中力を聴衆にも要求しているような感じがあります。

今回のテーマは、「次世代の作曲家たち 2」。
昨年1月の1回目にも伺いましたが、終演後のアフタートーク、質疑応答も含め、
かなり刺激的な内容でしたので、今回も期待して伺いました。

内容は、大村久美子さん、加藤千晶さん、
木下正道さん、福井とも子さん、山口恭子さんの新作を、
next mushroom promotionの選抜メンバーで初演(改訂初演)するというもの。
最後には、細川さんの作品も2曲、演奏されました。

楽器編成は、フルート(奥田律さん)、クラリネット(上田希さん)、
ヴァイオリン(辺見康孝さん)、チェロ(多井智紀さん)、
ハープ(松村多嘉代さん)から選ばれた独奏から五重奏まで、
室内楽の多彩な趣きを楽しめました。

木下正道さんの《眠ること、鳥が滑空するように VI》は、
クラリネット、ヴァイオリン、チェロのための作品。
私の中で、木下さんの室内楽曲のイメージは、
ピアノ(楽器もダイナミクスも)、かつ、心地好い冷たさ、というものでした。
なので、ピアノが含まれていない、しかも、クラリネットが入った編成というだけで、
期待が高まります。
そして、そのような期待など軽く超える、素晴らしい作品でした。
アフタートークでは、来場者から「ホラー映画のような」みたいな感想が出ていましたが、
私にとっては、ハート・ウォーミングというと、少し違う気はするのですが、
それでも、温かい作品に聴こえました。
とある物語に「凍てついた炎」というものが出て来ましたが、それも連想致しました。
クラリネットの音色の印象もあるのかも知れません。
イレギュラーな位置で鳴らす弦のハーモニクスや、
通常の押弦からハーモニクスを出す際の指の圧力になる変化の過程など、
molto sul ponticelloなら異様な冷たさや怖さもあるのですが、
弓のポジションの影響もあるのか、耳に痛い音ではなく、クラリネットと同化するような、
柔らかさすら感じさせるような音となっていました。
これは、ちょっとした衝撃の体験でした。
また、作曲の際、独自のシステムを活用されているとのことですが、
ただただ未聴感を求めるだけのために、
自らの意思が通用しないような作風を取るのではなく、
きっと、音楽は既に木下さんの中にあるのでしょう。
その自らの音楽を如何にアウトプットするか、というのも作曲家の命題の一つでしょうが、
木下さんは主観と客観の挾間でたゆたうが如く、作曲されているのでしょう。

福井とも子さんの《ダブレット I》は、ヴァイオリンとチェロの二重奏曲。
昨年の初演から、エンディングの部分を変更されたとのこと。
二重奏における二つの楽器の在り方は、作曲家を悩ませるテーマの一つだと思うのですが、
ここでは、二人の関係性は常に「密」となっていました。
しかも、演奏するのがヘンタイデュオのお二方(辺見さん、多井さん)です。
熱くならない筈がありません。
途中、トラブルのために2、3分の間が空き、
再び冒頭から演奏し直す、ということもありましたが、
それで更に集中力を増した演奏をされるから、こちらも尚更に燃えます。
アフタートークでもありましたが、現代の作曲において、ビギニングもエンディングも、
当然、如何に曲を持続させるかも難しい問題ですよね。
調性音楽の枠組みを用いるにしても、シェーンベルク、ヴェーベルン、
さて、次はどうする? みたいな状態が何十年も続いているように感じることもあります。
西洋の戦争や植民地の歴史に伴う楽曲の肥大化とは比にならないような規模のことが、
先の大戦以降、現在進行形で起こっている訳ですし。
多少の愚痴と共にw、この問題への姿勢を語った福井さんに共感致しました。

ここまで、私の思いつくままに書いて参りましたが、更に戯言を重ねるなら、
この木下さん、福井さんの作品に、私は勇気付けられたのです。
実際、ご本人たちがどういう作曲をされているかは存じ上げませんが、
様々なパラメータを扱う作曲において、
音高に強いこだわりを持っていらっしゃるように感じたのです。
勿論、音色やそれに伴う奏法の問題、
楽曲の構造にも関わる美学的な問題などもあると思いますが、
「この期に及んで」と言われようが、音高やそれより派生する問題に取り組みたい私にとって、
お二方の作品は、素晴らしい指標にも思えたのです。
的外れだろうが、そう思えたことで突っ走る動力となるのなら、それでも構わないでしょう?ww

もう一つ、触れます。
山口恭子さんの独奏クラリネットのための《シアン》も、素敵な作品でした。
昨年、私も独奏クラリネット曲を上田希さんに初演して頂きましたが、
とにかくスケールを駆け回る、モーツァルトと同じようなアプローチの拙作とは違い、
かなり繊細に音を描く、私には出来ない、雰囲気で聴かせる作品です。
ただ、楽譜を見た印象では、「あの楽譜から出て来る音楽としては少し違うような…」
と思ったのも正直な所でして。
きっと、山口さんと上田さんの間で、展示されていた楽譜には書かれていない打ち合わせが、
沢山重ねられたのでしょう。
上田さんが初演されることを前提に作曲されたでしょうから、
他のクラリネット奏者の演奏で聴いた時の印象の違いもいつか楽しめたら、
なんて贅沢なことを思うことでした。

細川俊夫さんの、ハープのための《ゲジーネ》、
クラリネットとハープのための《弧のうた》を生で拝聴出来たのも感激致しました。
特に後者は、CDでも親しんでいる作品です。
元々はオーボエとハープのための作品らしいですが、
CDと同様に、上田さんのクラリネットで聴くバージョンが私は好きです。
今回の出発前に、この曲も収録されたCD『メモリー』を何度も聴き直す中で、
昨年までの私は細川さんの作品を楽しめていなかったのかも、と思うようになりました。
確かに厳しい音楽ではあるのですが、
一方では、こんなにも聴き易い音楽だっただろうか、と驚いたのです。
この先、もっと楽しめるようになれるのかも知れない、と思うだけで、
今後の毎日を明るく過ごすことが出来そうです。ww
あと、《ゲジーネ》での、ハープに箏のような音色を求め、
しかし、箏では出せない、ハープならではの音色へと仕上げる態度に、
今後の作曲のヒントを頂きました。
今まで、他の楽器を模したような奏法や音色は出来るだけ排除して参りましたが、
自分なりの突破口を見出せそうです。
(木管楽器が息の音を発生させる装置のようになっていることへの抵抗感も解消したいw)

今回のアフタートーク、質疑応答は、予想していたよりは大人しいものでした。
その中で、徳永崇さんの各曲へのコメントは、特に素晴らしかったと思います。
上述のような印象を語るだけのものではなくw、
微に入り細に入り、「気付き」に満ちたコメントの数々に感銘を受けました。

アフタートークの中で、ある方が発言されたことの一つに、
東日本大震災と作曲の関係を問うものがありました。
これは、私もかなり悩んでいることの一つでして。
実際、直接的にリンクさせている曲は、あれから3ヶ月が経った今も書けずにおります。
この間に取り組んだ作曲は、過去作を別編成に改訂するものと、
演奏家さんにご意見をお伺いしながらのもの、そのどちらかでした。
今は、また孤独な作曲の毎日に戻っておりますが、
震災発生後、すぐには出来なかったことだろうと思います。
近作のスコアを見返すと、正直、作曲に対する悩みが透けて見える箇所もあるのですが、
全くの孤独な作業では無かったことが私には良かったのだろう、と、今では思えます。

終演後、ホテルに戻りましたら、とある作曲家さんからメールが届きました。
「片田舎で作曲を長く続けて、1曲書く度にもうやめようかと思い続けて来た」
というようなことが書かれていました。
(私が住む鹿屋、鹿児島よりは都会だと思いますけどw)
最後は希望的な言葉で締められていたものの、
それぞれが様々な感情の中で作曲されているのだな、と改めて思うことでした。

ちなみに、10回目となる「HIROSHIMA HAPPY NEW EAR X」は、
10月20日(木)に開催されます。
リコーダーの鈴木俊哉さん、笙の宮田まゆみさんのお二方が、
雅楽古典曲をはじめ、ベリオ、徳永崇、シャリーノ、川上統、細川俊夫(敬称略)の
作品を演奏されるとのこと。

案の定、まとまらない日記となりました。
広島滞在の2日目、3日目については、また後日。

今日もいい日だっ。

ばいちっ。
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