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虹蛇。

デュオ・リサイタル Vol.3 表

どもっ(・◇・)ゞ自分です。

明日12日(日)15時より、鹿児島県鹿屋市、リナシティかのや・3Fホールにて、
浅生典子&片倉聖 デュオ・リサイタル』が開催されます。

出演は、
フルート:浅生典子、オーボエ:片倉聖、ピアノ:樋園亮、
打楽器:前田啓、作曲・ピアノ:久保禎、作曲:田口和行。

本公演で演奏される拙作は2曲。
フルートとピアノのための《Daydream Dance Ib》のフルート版初演と、
フルート、オーボエ、ピアノのための《虹蛇》の初演が予定されております。

以下、今日は《虹蛇》について、ご紹介致します。

オーストラリアのアボリジニに伝わる「虹の蛇」の神話。
聖なる泉の底に棲み、生物にとって大切な水や雨を自由に操る蛇の精霊。
この善悪を超えた存在より、すべての生物は生まれたとされている。
また、泉を汚された場合、怒りによって洪水や疫病がもたらされることもあるらしい。

中沢新一氏(宗教学者、人類学者)の著書『虹の理論』に出て来る「虹の蛇」の話に魅了され、
これをテーマに作曲したいと思いました。
オーケストラのように大きな編成でこそ試みるべき壮大なテーマかも知れませんが、
この室内楽編成で取り組むというスケールのミスマッチ感が作曲意欲を掻き立てました。

作曲するにあたって、レヴィ=ストロースなど、
『虹の理論』に出て来る幾つかの引用も参考に致しましたが、
現代音楽をお好きな方なら、この本の名前を聞いて、
すぐに思い付くであろう二つの作品から直截な影響を受けております。
すなわち、ルチアーノ・ベリオの《シンフォニア》と、
三輪眞弘さんの《369 Harmonia II》です。

補足するまでもなく、前者はニューヨーク・フィルハーモニックの125周年記念として委嘱され、
二十世紀の音楽体験すべてに対して捧げられるオマージュとなっているそうです。
それに対し、ベリオはレヴィ=ストロースの意図を十分に汲んだ作曲を出来なかったと考える中沢氏が、
三輪さんとコラボレーションして生まれたのが後者です。
ここで生まれた「虹の技法」というコンセプトと、
その後に生まれた「新調性主義」というコンセプトにも大いに刺激を受けての作曲となりました。
これ以上に影響が大きかったのは、今年、名古屋でお会いした三輪さんご自身だったかも知れませんが。

ただ、私はロマン派の音楽を肯定することが作曲のモチベーションとなりました。

また、今回の作曲に入る前、フルートの浅生さんから、
「特殊奏法を用いない現代音楽の作曲は可能か?」というテーマを頂きました。
現代音楽を苦手な人からのご提案ではなく、海外のコンクールの現代音楽部門で受賞していて、
藝大と藝高で教えていらっしゃった方からのご提案です。
ある種の挑戦状として、私も受けない訳にはいきません。
なので、本作には管楽器の魅力の一つであるフラッタータンギングさえ出て来ません。
(某作曲家のように、ヴィブラートを排除する所までには至りませんでしたが、、、)
特殊奏法を、西洋音楽が排除して来たものを再び復活させることによる音楽の拡張の試みだとした場合、
もしかしたら、西洋音楽の歴史ならびに進化には適さない態度ではなかっただろうか、
という疑問に由来する(これまた三輪さんの影響下にある)課題設定も行ないました。
特殊奏法をしないからといって、演技などの要素も特に入って来ません。
(こういう課題設定自体が、現代音楽の貧相な実情を露呈するような感じも致しますが、、、)

余談ですが、
鹿児島に浅生さんという素晴らしい演奏家が居ると教えて下さったのは、多久潤一朗さんでした。

曲の構造には「7」という数字が大きく関わっています。
例えば、この曲は、大まかに分類して、七つのセクションから成立しています。
すなわち、オーボエ独奏、オーボエとピアノの二重奏、ピアノ独奏、
フルートとピアノの二重奏、フルート独奏、フルートとオーボエの二重奏、三重奏です。
音程関係やリズム、フレージングにも「7」という数字が関わっています。
その他にも『ファイナルファンタジーVII』のサンプリング音源の質感や、
水樹奈々さんの音楽にもインスパイアされました。

ちょっと恥ずかしい話を致しますと、久し振りに自分で愛せる曲が出来たと思っております。
「こういう作曲をしたいんだ!」という強い想いに溢れる新作となりました。
システムに基づいた理詰めの作曲ということもあり、難易度の高いフレーズが頻出します。
それを現実の音楽として下さるお三方、
フルートの浅生典子さん、オーボエの片倉聖さん、ピアノの樋園亮さんに、深く感謝申し上げます。
ちなみに、ピアノの樋園さんは、
拙作を今まで演奏して頂いた方の中で、最も曲数(回数ではなく)の多い方です。

最後に、少しだけ《Daydream Dance Ib》についても。
夢喰いメリー』にインスパイアされた5分程度の小品で、
「8-5-7-4-3-8-5-7-4-2」という擬似ターラ(インド音楽においてリズムの周期性を示す言葉)で構成。
単にKENSOに影響された曲だとも云えるでしょう。
曲中にはAllegro vivace e misterioso(快活に、かつ、神秘的に)というやや珍しい演奏上の指示があり、
曲の性格を表わす上で欠かせない言葉となっています。
ちなみに、この曲は、昨年の夏にテナーリコーダー&ピアノ版(Daydream Dance I)が初演され、
今月は熊本で、フルート&マリンバ版(Daydream Dance II)も初演される予定となっています。
また、テナーリコーダー&マリンバ版(Daydream Dance IIb)も既に演奏家さんへお渡し済みで、
次は(初演時からお話を頂いている)尺八&十七絃箏の版(Daydream Dance III)を作る予定です。

以上、思い付くままに書いてみました。
是非ご来場頂き、ご感想を頂ければ幸甚に存じます。



デュオ・リサイタル・シリーズ Vol.3
『浅生典子&片倉聖 デュオ・リサイタル』

日 時:2012年8月12日(日)開場14:30/開演15:00
会 場:リナシティかのや・3Fホール http://www.kanoyashimin.jp/
出 演:浅生 典子(フルート)、片倉 聖(オーボエ)、樋園 亮(ピアノ)、前田 啓(打楽器)
     久保 禎(作曲・ピアノ)、田口 和行(作曲)
入場料:一般2,000円、高校生以下1,000円
主 催:デュオ・リサイタル実行委員会
後 援:日本現代音楽協会、日本作曲家協議会、九州・沖縄作曲家協会
     鹿児島国際大学、鹿屋市教育委員会
お問い合わせ:デュオ・リサイタル実行委員会事務局 0994-46-4923(久保)


<プログラム>

アントニオ・ロッティ/トリオソナタ
ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエ/6つの二重奏ソナタ より III ロ短調
ベンジャミン・ブリテン/オヴィデウスによる6つの変容 作品49 より [Ob. solo]
エドワード・マデレイネ・ドリング/フルート、オーボエ、ピアノの為の三重奏曲

田口 和行/《Daydream Dance Ib》 フルートとピアノのための 【フルート版初演】
久保 禎/光の縁(へり)[Ob. Perc. Pf.]
久保 禎/舞桜図 [Picc. Pf.] 【初演】
田口 和行/《虹蛇》 フルート、オーボエ、ピアノのための 【初演】
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