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逆光。

どもっ(*^・ェ・)ノ自分です。

12日、かごしま県民交流センター・県民ホールで開催された、
鹿児島大学教育学部音楽専修演奏会
 『石田匡志の世界・器楽と合唱の夕べ-第37回鹿児島市春の新人賞受賞記念-』

大変素晴らしい公演でした!!

「鹿児島市春の新人賞」は、
鹿児島市在住か鹿児島市に主たる活動の拠点があること、もしくは鹿児島市出身であることを条件とする、
芸術文化の将来を担う人材の育成と鹿児島市における芸術文化活動の向上発展を目的として創設された賞で、
鹿児島の芸術文化における登竜門として、これまでに様々な分野から数多くの人材を送り出しています。
鹿児島市に関係のある人を対象とすることは、
即ち、鹿児島県を代表する新進気鋭の芸術家を選出するものだと言い換えられるでしょう。
http://www.city.kagoshima.lg.jp/_1010/shimin/5kyouiku/5-3bunka/info/_38807.html

本公演は、鹿児島大学教育学部音楽専修・同大学院教育学研究科専任講師作曲担当である、
石田匡志先生(1979年生まれ、東京藝術大学大学院音楽研究科作曲専攻修了)が、
上記の名誉ある賞を受賞された記念として、
先生の作品を鹿児島大学音楽専修教員有志、学生有志、招聘演奏家により演奏するもの。
既に管弦楽曲を含む多くの作品が国内外で演奏されるなど、ご活躍の先生ですが、
こうして、鹿児島県で先生の作品をまとめて拝聴出来る機会は初めてだった筈。
きっと、関係者のご尽力も多大なものだったでしょう.。゚+.(・∀・)゚+.゚

プログラムは、以下の通り。

  ・前奏曲~ピアノによる【初演】
  ・羽根木から~チェロとピアノによる
  ・逆光の中で~尺八、オーボエ、コントラバスによる
  ・色界~2台のピアノによる
  ・フォーレ/レクイエム(石田匡志による2台ピアノ編曲版)【初演】

「春の新人賞」の受賞理由である、
「芸術性とポピュラリティを併せ持つ作風は、21世紀の音楽の在り様を予感させる」音楽として、
高く評価されている石田先生の作品。
殆どの作品に共通する特徴は、
ドビュッシー、ラヴェル、メシアン、武満徹を想起させる正統派の音楽だということ。
時折挿入されるペンタトニック的な決めのフレーズも、良い意味で「らしく」聴かせます。

石田先生の確かな手腕は、オーケストラ・ニッポニカのCDに収録されている、
《早坂文雄のスケッチによる<交響二章>》でも聴くことが出来ます。

閑話休題。
この公演で演奏された中で異色の作品とも、逆に、石田先生らしい作品とも呼べるのが、
3曲目に演奏された《逆光の中で》ではないでしょうか。
(オーボエ:片倉聖、尺八:田中黎山、コントラバス:フィリップ・アレン。いずれも招聘演奏家)

これは、昨年12月13日、東京の杉並公会堂・大ホールで開催された、
和と洋のコラボレーション Vol.2』で初演されたもの。
以前より邦楽器に関しては一家言あるとお伺いしていたので、とても楽しみにしていた1曲。

コントラバスによる4ビートのウォーキングベースの上で、
オーボエと尺八が西洋音楽寄りのフレーズで掛け合っていきます。
明確なペンタトニックや、ブレーク時の尺八ソロ(しかし、in tempoによる)などに、
邦楽らしさを込めていたのかも知れません。

プログラムノートによると、タイトルの「逆光」というのは、
今日の西洋音楽に溢れた生活環境で「邦楽」と「洋楽」の在り方を見つめ直した結果、
いずれも「逆光の中で」ものを見るように不鮮明なものであると感じるに至り、
その感覚を表現されたとのこと。

尺八の演奏家さんが器用過ぎたのでしょうか、
尺八も洋楽器の一つとして扱われていたような印象を受けました。
五線記譜、西洋の音階による音楽だから、という訳ではなく、
体感するビート、曲を支配している時間の感覚、息(呼吸)の扱いなどが、
西洋音楽の「それ」に聴こえました。
もっと邦楽寄りの尺八奏者(奇妙な表現ですが)だと、また違った表現となったことでしょう。
ポップス的な邦楽器作品を嫌う音楽家の友人が「これは面白い」と仰っていたので、
「和と洋のコラボレーション」が成功されていた作品なのかも知れません。
私は先述の通り、最も石田先生らしさを感じた作品で、
「本当はこういう作品を『書きたい』のではないか?」と好感を持ちました。
ただ、先生の幅広い作風を考えた場合、もっと遊び心を炸裂させても良かったと思います。

尚、この曲では石田先生ご自身が指揮を担当されていました。
コントラバスがリズムキープを担当している関係もあるのか、
石田先生の指揮は、ビッグバンドやNHK歌謡コンサートで見るものに近いような、
フレーズの始まりで合図を出し、音楽の抑揚を体現することに徹するものでした。
現代音楽好きというのは、ここで深読みをしようとする悪い癖があるのですが、
川島素晴さんの「cond.act」のようにも見えましたし、
吉松隆さんの《星夢の舞》での指揮者のようにも見えましたし、
ダンサーが音楽に合わせるのではなく、音楽が舞に合わせるかのように、
その呼吸による音楽の捉え方の表現を担っているようにも見えました。
でも、実際の所は、一度落ちたら収拾がつかなくなることを防ぐためだったらしく、
このような意図は特に無かったようです。
ただ、この指揮があるのと無いのとでは体感する音楽も異なるものとなったでしょう。
私は指揮があって良かったと思います。

第1部最後は、今年1月の日本現代音楽協会創立80周年記念音楽祭で初演された、
《色界》というピアノ・デュオ作品。
(ピアノ:日吉武、梅林郁子。いずれも鹿児島大学教育学部音楽専修・同大学院教育学研究科准教授)

私はこの初演を聴いていないのですが、お噂は色々と伺っておりました。
曲が始まるまでは心配していた曲でしたが、とても素敵な作品だと思いました。
確かに、現在の現代音楽の基準では評価の対象外となりがちな作風ですし、
このような作風を押し進めるのであれば、
ドビュッシーやラヴェル、メシアンといった作曲家の高いハードルを越える必要もあるでしょう。
(このような観点もまた、現代音楽に気触れている証拠なのかも知れませんが、、)

しかし、日本現代音楽協会の公演に出品されるくらいですから、
石田先生は「現代音楽」として捉えて欲しいのでしょう。
昨年のMBCユースオーケストラの定期演奏会でのご発言などを思い起こすと、
先生ご自身も、自作が「現代音楽」として聴かれることに拘っていらっしゃるようですので。
ステレオタイプな現代音楽でもなく、ロマンティックな音楽にも走らず、ポップスとも違う。
「修行僧」のようなものを描くべく作曲されたそうですが、
現代が袋小路であることをストイックに表出されたのかも知れません。
個人的には、作曲家として、後進を育てる立場として、
そこに「それでも希望を求める姿」のようなものを感じられると良かったのでは、と思いました。
(私が望む「希望」とは違ったために聴き取れなかっただけかも知れませんが、、)

第1部の4曲を拝聴して印象的だったのは、多くの抽斗を持っている筈の先生が、
潔癖症とも呼べるくらいに、1曲の中では一つのことのみを徹底されていたことです。
ちなみに、この場合の「徹底」は、「執着」とは異なるようです。
曲によっては、テーゼのみで、アンチテーゼが全く提示されないような印象も受けました。
西洋音楽のルールである主題云々の観点だと、アンチも提示されていたのでしょう。
ただ、私は、それだけでは「現代」におけるアンチとしての役割は果たせないと考えます。
ちなみに、西洋音楽の文脈を信じて現代音楽の作曲に取り組む場合、
テーゼ一つに絞って徹底させる手法は有効だと私は考えます。
和声に堪能な先生方は「1曲の中で多彩な音楽が展開されている」と仰っていましたから、
私の聴き方に非があるのかも知れませんけど。
石田先生が他者の作品を批評される際に「破綻」の重要性を唱えられていたこと、
「破綻」と「支離滅裂」には大きな差異があることを唱えられていたことも、
作品を拝聴する際に無関係ではなかった、と付記しておきたいと思います。

終演後に感じたのは、今の石田先生による弦楽四重奏のための新作を拝聴したい、ということ。
造形の厳しさを問われるこの編成は、ベートーヴェン、バルトーク、ショスタコーヴィチだけでなく、
現代音楽にも名曲と称されるものが少なくありません。
先生には、平伏すしかないようなラヴェルのあの完璧さを、その美しさと緻密さで越えて頂き、
それを現代音楽の公演で初演して頂きたい。
不遜ながら、そのようなことを勝手に強く思うことでした(●´ω`●)

余談ですが、会場には、著名な音楽評論家、石田一志氏ご夫妻もご来場されていました。
改めて説明するまでもなく、石田先生のご両親です。

私にとって、石田先生は年も近く、
でも、レベルは雲泥の差で、大変素晴らしい作品を多く書かれていて、
そして、何と申しましても、同じ鹿児島県内にいらっしゃる作曲家ということで、
遠い彼方を往く先輩というだけでなく、その存在自体が励みとなるような、大きな存在です(* ̄∇ ̄*)
先生の更なるご活躍を、心よりお祈り申し上げます!
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