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eX.16 マグナムトリオ、現代音楽を吹き飛ばす。

今年最後の上京より帰って参りました。
いつも通り、今回の3泊4日を何回かに分けて書きたいと思います。

21日(水)、杉並公会堂・小ホールにて、
作曲家の川島素晴山根明季子の両氏が主宰する公演、
eX.16 マグナムトリオ、現代音楽を吹き飛ばす。』が開催され、
拙作、3人のフルート奏者のための《initiation》が公募選出作品として初演されました。
(公演の詳細等は前回のブログにてご紹介しています)

拙作のタイトルに「3人のフルート奏者のための」と書いてある通り、
今回演奏された8曲中、伊藤弘之氏のフルート独奏作品を除いた新作7曲は、
「3本のフルートのため」に書かれた作品などではなく、
飽くまでも、「マグナムトリオのため」に「作曲」されたものばかり。
他のトリオでの近年中の上演は、良い意味で、きっと望めないでしょう。

その中では、拙作はオーソドックスな作品だったかも知れません。
19日は代々木上原の「けやきホール」で、20日は東京藝大でリハがありましたが、
2回目のリハが終わり、マグナムトリオのリーダー、多久潤一朗さん曰く、
「一番安心して演奏出来る曲」とのことでした。

《initiation》は、8音による音階の実践を更に進めたもの。
今回は、C、Ds、Es、F、Fis、G、B、Hから成る、無調らしき音階を採用しましたが、
使い方次第で、無調そのものにも、民族音楽風にも、モーダルにも、ポップスにも、
如何様にも聴こえてしまうだろう、というのが作曲時の課題でした。

ピッコロ2本がコテカン的なリズムパターンを鳴らす中、
フルートがカズーを通して奏する所にしても、
ガムランで使われるようなスケールとは違う筈なのに、それらしく聴こえてしまう。
同様のフレーズが、後半では、トルコの「カヴァル」を模した奏法で出て来ますが、
どちらもフィンガリングのみでピッチを容易に操れるものではない、
という共通点があります。
ちなみに、これらの箇所は、大好きなKENSOの《Tjandi Bentar》を参考にしました。
一聴すると普通のシャッフルのようでも、実際は音価が4:3や3:2になっていたり、
小節のちょうど半分の所にアクセントが入っているため、
あたかもハーフ・シャッフルのように聴こえたりすることなどです。

7分強の曲ですが、冒頭からの約3分間はピッコロのみを使用しました。
杉並公会堂のあの広さと、ほぼ満席の客席が冬物コーデだったため、
想定していたよりも柔和されてしまった印象もありましたが、
それでも、ピッコロでのアンサンブルの面白さは出ていたのではないかと思います。

特殊奏法や超絶技巧が連続する、
まさに、マグナムトリオさんのハイテクニックぶりを意識した作品でしたが、
曲の後半、sffffの音の直後にストップ・モーションとなり、
頭部管を抜く所から、各々が違う方向へ一歩前進するラストまで、
動作の指定も幾つかございました。
《initiation》が音楽家、渋谷慶一郎氏のツイートから生まれたことは先述の通りですが、
渋谷氏の「王様と割礼」というDOMMUNEの番組も実は投影されていて、
あの一連の動作は、ある種の性の成長過程が下敷きとなっていました。

他の7曲に比べたら、かなり「普通」な曲だったかも知れませんが、
それでも、休憩時間や終演後に声を掛けて下さる方が少なくありませんでした。
「最もフルートの音色に真正面から向き合っていた作品」
「何か美しいものが駆け抜けていった作品」というものから、
フルーティストさん数名からの、社交辞令にしては、やけに具体的な作曲のお話など、
中には厳しいご意見もありましたが、それを含め、大変嬉しいものばかりでした。

拙作に対して、
「最初は面白いのに、途中から普通の現代音楽になってしまって残念」
というご意見をよく頂きます。
これについて、本公演までは、曲の構造的なことが原因だと思っていましたが、
要は、テンポの遅い所に新鮮さや自分らしさが無いだけ、ということに気付きました。
また、ただ単に弱点を克服出来たとして、
それは作品の点数は上げてくれるかも知れないけど、
自分の作曲ではない可能性も、きっと、あります。
作曲する者としての態度、覚悟が問われているのだと、
今まで以上に痛感した終演後でした。

本当は拙作について書いている場合ではなくて、
これ以上の文字数で、他の7曲のことを1曲ずつ書きたいくらいに、
充実した、あまりに濃厚な公演でした。
告知等で「これを目撃せずして、現代フルート音楽を語るなかれ」
という一文がありましたが、まさにそのような内容だったと思います。

素晴らしい作品そのものから学ぶものも多かったのですが、
ゲネプロでの各作曲家の言動であったり、
来場者から批判的な意見をもらった作曲家さんのその後など、
普段なかなか見られない場面に立ち会えたことが、かなり刺激的でした。
打たれ強さや、アンチを有難く思うことが大事だと思う一方、
批判に全く凹まないのは如何なものか、と私は常々思って来ましたが、
その方のお姿を拝見して、間違っていなかったかも、と少しだけ自信を持てました。

また、鹿児島からご来場頂いたピアニストのTさんを始め、
現代音楽オンリーのコンサート初体験、という方も少なくなかったことでしょう。
最初にこれを体験してしまったら、この後、かなりのものに行かない限り、
物足りなく思ってしまうかも知れません。
こういう場面で、あのクオリティの上演を目撃してしまったら、それはもう。。。
しかも、こんな珍しいことまで起きていた訳ですから。。。
(久々に氏とお会い出来て、嬉しかったです)

これらが実現出来たのは、やはり、マグナムトリオさんのおかげ。
何処までも貪欲に、作曲家の要求を理解し、それを実現し、
一切の出し惜しみなど無く、様々なアイデアを提示して下さいます。
(一昨年の「第26回現音作曲新人賞本選会」でも、多久さんに何度助けられたことか、、)
今後も、マグナムトリオさんから新たなフルートの可能性や魅力が提示されることでしょう。

さて、「eX.」の次回以降のラインナップも既に発表されています。
2012年8月8日開催の『eX.18 Young “Composition 1960#7” 3 hours』は、
ラ・モンテ・ヤングの「完全5度の和音をできるだけ長く延ばす」という作品を、
半世紀前の初演と同じ3時間、上演するというもの。
そして、2013年3月開催の『eX.19 川島素晴作品個展《Action Music》』という、
タイトルを見た瞬間に鼻血が出てしまいそうな予告。
今から、要チェックです。

最後になりましたが、
主宰者のお二方、マグナムトリオさん、お手伝い下さった方々、ご来場下さった皆様、
誠に有難うございました!
憧れの作曲家が主宰する「eX.」にて、
大好きなマグナムトリオさんに、拙作を上演して頂けるなんて!
本公演で得たものを糧に、今後も精進して参ります!

p.s.1
最近、演奏に参加する機会の全く無い私ですが、
北爪裕道氏の《REFLECTION》にて、
客席に30人近く用意された「サクラ」の一人を担当させて頂きました。
これはステージ上からの指示に従って無声音を発するもので、本当に楽しかったです。
また、中川俊郎氏の無声音がとにかく印象的で、圧倒されました。

p.s.2
「どの本でフルートの特殊奏法を勉強したのか?」という質問を受けましたが、
私が主に使っているのは、Gergely Ittzesの本です。

p.s.3
リハでは、意外と自然な形で「超時空シンデレラ」の話になりました。
やっぱり、皆さん、お好きなのですね!O(≧▽≦)O

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